西村美江子
私は宮城県で生まれました。
そこには緑豊かな山や川があり、野の草花は季節の風に吹かれていました。
子供の頃から大空の流れる雲を見るのが好きで、雲の形を見て思いを膨らませたり、花の種を虫メガネで見たり、それを絵に描いたりしていました。
やがて、恵泉女子大の園芸科に行き、そして更に共立女子大の造形芸術に編入して世界が広がりました。
始めは油絵を描いていましたが、和紙を見ているほうが色々なイメージが見えてきました。
いつしか日本画家・細密画家と言われるようになりました。
今もずーと夢を見るのが好きで、夜、ねむりの中で、大宇宙を渡り鳥のように羽ばたく大きな鳥(不死鳥)がよく現れます。
その鳥は「青い星(地球)の小さな島が生まれ故郷」と語ります。私は、海の水平線の向こうに、日の出とともに、鳥が太陽と一体になって、虹色の光に輝いて優雅に飛んで来るのが見えます。
神様は、私に「絵を描く」という贈り物を与えてくれました。あの鳥のように大らかに生きて、自由な魂の世界を絵で表現しなさいと・・・教えられたような気がします。
ある日、野の花一輪を写していた時、『いのり』を感じ、空を見上げると、天女が舞っていました。
『きれいな水や空気や土をこのままでのん・・・』とささやく声がどこからか聞こえてきます。
そんなささやく声に耳をかたむけていたら、いつしか花と天女の絵に埋もれていました。
                                                    2003年 3月 吉日
                                                        西村美江子


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